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再生レポート

【協業プロジェクトレポート】西武不動産/資産価値向上の足掛かりとなるセットアップオフィス



新築建設費高騰により、既存建物のバリューアップニーズが高まりつつある昨今。
西武グループは2024年以降、「所有とキャピタルリサイクルの両輪で成長させるビジネスモデル」への転換に本格的に乗り出しました。

2025年7月、文京区湯島に位置する築33年のオフィスビル「湯島太田ビル」のバリューアップが完了。
LOOPLACEがパートナーに選ばれ、これまでに培ったセットアップオフィスのノウハウを活かし、2フロアを居住区画から“選ばれるオフィス”へバリューアップを実施。
入居者募集に先駆け、本プロジェクトや今後の展望等についてお話を伺いました。


左から)LOOPLACE/デザイン設計Gr我喜屋氏、西武不動産/都市開発事業部 木村氏、投資運用事業部 中村氏、野澤氏、LOOPLACE/デザイン設計Gr萩原氏、徳田氏、ソリューションGr佐野氏


西武不動産が選んだのは、空室課題の解決力とスピードを備えたパートナー
西武不動産とLOOPLACEの出会いは、「gran+ AKIHABARAⅡ」完成内覧会。
空室に悩む中小ビルに向き合うLOOPLACEの柔軟な発想力と空間設計が評価され、今回のパートナーシップが実現しました。
LOOPLACEへの印象について、都市開発事業部 課長補佐の木村氏は「LOOPLACEさんの尖ったデザインが好きでした。例えば『gran+KANDA』。老舗ビリヤード場をモチーフに一面にビリヤードの球を配置していたのは圧巻でした。ほかの施工会社さんにはないユニークな発想が魅力だと感じています」と話します。


gran+KANDA セットアップされた執務室(左)と共用会議室のビリヤード壁(右)


プロジェクトの内定は2025年1月。複数社によるコンペの中で評価されたのは、細かな要望への対応力と、バランスの取れた提案内容、そしてプロジェクト推進におけるスピード感でした。
「外装デザインでは他社も魅力的でしたが、家具や設備まで配慮された提案はLOOPLACEさんだけでした」と木村氏。実現性のある見積りと計画調整力が、選定の決め手となりました。



「賃料と空間のバランス」を軸にした、精緻なセットアップ設計とスピード感
今回、西武不動産は予算・レイアウト・収益性など、多くの制約を前提とした条件を提示。それに対しLOOPLACEは幾度となく修正を加え計画を洗練し、広さとレイアウト、賃料帯のバランスの取れたセットアップオフィスの構築計画を実現しました。
「他の会社の外装は豪華な設えだったのですが、一方で家具の配置計画は盛り込んでいませんでした。改修の際によくあるのが『見積りよりも高くつく』こと。LOOPLACEさんは家具や内装費用も細かく見積り金額に落とし込んでくださり、当社が設定していた予算のなかで賃料提案と床面積のバランスもとってくださったので、非常に好印象でした」(木村氏)。

評価されたもうひとつのポイントがスピード感。LOOPLACEの「gran+」シリーズでは、物件の取得から売却まで1年を目安に施工・リーシングを進めており、本プロジェクトにおいても、同様のスピード感で仕様の決定承認、工程管理等が進められています。



所有とキャピタルリサイクルの両輪で成長させるビジネスモデルへ
一方でセットアップ第一号では課題も見えた

西武グループでは、2024年5月に発表した「西武グループ長期戦略2035」において不動産事業を核とした成長戦略を描いており、不動産価値の最大化を推進。また、持続的成長を実現していくために資本効率性を追求し、所有前提のビジネスモデルから、「所有とキャピタルリサイクルの両輪で成長させるビジネスモデル」へと転換しました。オフィスビル、レジデンス、ホテルといったさまざまなセグメントの既存ストックを適切なタイミングでバリューアップし、特に西武線沿線をはじめとする都内の中小規模の築古物件を中心に資産価値を高めていくことで資本効率性の向上を図ります。

こうした中で、2024年には「TWG本郷」を取得。2フロアをセットアップオフィスとして改修し、初の本格的なセットアップ運用物件として位置づけました。

西武不動産の投資運用事業部 アセット担当 主任の中村氏は「『TWG本郷』はある程度バリューアップがなされていた物件ということもありドラスティックな変化が少なく感じられましたが、今回は住宅部分のコンバージョンもあり見違える仕上がりになると思いますし、LOOPLACEさんのバランスの取れた提案にも手ごたえを感じていますので、『湯島太田ビル』のプロジェクトには大きな期待を寄せています」。



エリアリサーチから見えた立地特性 ベンチャー集積を意識したターゲティング
本プロジェクトの「湯島太田ビル」は、西武不動産が2025年2月に取得したオフィスビル。築33年の地上7階建て。延床面積1729.19㎡。1~5階には中古品販売大手の本社、ガラスの製造会社などが入居し、上層階がオーナーの住戸となっていました。


湯島太田ビル 取得当時(before)


湯島エリアは、東京大学、順天堂大学、東京科学大学などが立地する文教地区。
医療系スタートアップや研究開発系企業が点在していることから、今回のメインターゲットのひとつに据えています。また、住宅街としての色も強いことから、オフィス需要のポテンシャルを秘めながら、閑静で落ち着いた環境が魅力といえる立地です。


LOOPLACEが行ったエリア分析より抜粋


今回のエリア分析についてLOOPLACE ソリューションGr.の佐野氏は「本郷エリアの中小ビルの坪賃料は1~1.5万円が相場。これを踏まえてセットアップオフィスは坪2万円弱程度を狙えるのではないかと考えます。秋葉原が同規模のオフィスで2万円台後半になることを考えると、本郷エリアは値ごろ感が強くスタートアップでも借りやすいのではないででしょうか。一番広い専有部が30~40坪ではあるものの、近隣には100坪程度のオフィスもあるので、需要はある程度拾えるのではないかと思っています。」と話します。



デザインコンセプトは“BIOPHILIC LABORATORY”。
バイオフィリックデザインを根幹に、ラボをイメージしたオフィス空間へ

セットアップオフィスのコンセプトに据えたのは「BIOPHILIC DESIGN(バイオフィリックデザイン)」。医療系スタートアップ企業も意識し、自然素材と工業素材を効果的に融合したラボのような空間に仕上げました。
エントランスの天井にはステンレス素材を採用。マトリックス状のライン照明などを取り入れることで、幾何学的な雰囲気を演出。
外装は、既存花壇まわりを中心に石積みした印象的な造形と、周辺環境と調和する自然な緑がワーカーを出迎えます。


コンセプトに合わせ、自然素材と工業素材を効果的に融合したエントランス



有機的な表情を演出した植栽が、来館者を出迎える


6階、7階ともにセットアップオフィスとしており、それぞれの区画内には4~6名用の会議室を設置し、コンパクトながら多様な働き方に対応しています。




6階セットアップオフィス


特に7階には、中央の島型デスクに代わり、8席のカウンターを設置。「空間にインパクトを持たせたい」という西武不動産の要望を反映した構成です。


7階セットアップオフィス


共用ラウンジ新設で入居者へ付加価値を──価値向上を意識した共用部整備
6階には入居者向けの共用ラウンジを新設。L字型ソファやハイカウンターなどを設置し、休憩や小規模ミーティングの場として活用を可能にしました。

「共用部に付加価値を持たせることで、将来的な賃料改定にもつなげていきたい」と木村氏は語ります。


6階共用ラウンジ
L字型のソファで視線が合わないよう配慮し、他フロアのワーカーも気兼ねなく利用できるようになっている。また、テーブルやハイカウンターなども配置し、少人数でのミーティングやコミュニケーションの場としての活用も期待される。


“足し算”ではなく“引き算”の提案。オーナー目線でインフラ整備まで含めた設計姿勢
今回のプロジェクトは、デザイン性だけではなく、“オーナー視点”での提案も評価されました。インフラや雨漏り箇所など将来的なリスクへの対策を優先的に予算に織り込み、長期運用を見据えた工事費の最適化を実現しています。

「今まで発注をかけていた業者さんはお金をかけて見栄えをよくする『足し算』の提案をされましたが、LOOPLACEさんは『引き算』のアプローチ。コストをかけすぎず必要な部分を見極める提案をしてくださいました。インフラ設備の工事の予算を先に出してから内装の予算を出してくださったこともありがたかったです」(西武不動産・投資運用事業部 アセット担当 野澤氏)



「LOOPLACEではデザイン一辺倒ではないバランスの良さを大切にしています。具体的には「物件の状態」「エリアの特性」などが重要なポイントです。また、雨漏りなど家賃に反映しづらい部分の工事費も予め算出し、長期的に安定した運用を支える設計に仕上げています。本来オーナーがコーディネーションすることも弊社で一度考えて提案できる。それが当社の強みだと考えています」(LOOPLACE・デザイン設計グループ 萩原氏)



今後の展望
本物件は7月4日に内覧会を開催いたします。
大学ベンチャーなど見据え、2年~3年の短期契約のニーズにも対応予定。エリア特性を活かした“登竜門的”オフィスを目指されています。
今後も、西武不動産が推進する不動産流動化施策として、物件を手掛けていきたいとのこと。物件仕入れから売却等を進めていく予定です。


◆物件概要
施設名称:湯島太田ビル
所在地:東京都文京区湯島2-29-3
延床面積:1,683.34㎡/509.21坪(公簿)
構造・規模:鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)/地上7階建
竣工年:1991年(築33年)
所有者:株式会社西武不動産 ※2025年2月取得
リニューアル設計施工会社:株式会社LOOPLACE

<物件に関するお問い合わせ先>
管理会社:株式会社西武不動産プロパティマネジメント 担当:山内
連絡先 :04-2926-2436

◆内覧会詳細
開催日:2025年7月4日(金)
時間:10:00~17:00(16:30最終受付)
場所:湯島太田ビル6階7階
住所:東京都文京区湯島2-29-3 [Google Map]
アクセス:東京メトロ/丸ノ内線、都営地下鉄/大江戸線「本郷三丁目駅」徒歩7分
     東京メトロ/千代田線「湯島駅」徒歩8分

内覧会のご予約はこちらから

<内覧会についてのお問い合わせ先>
運営会社:株式会社LOOPLACE 担当:ヤマジョウ
連絡先 :03-6206-8422 <平日:9:00~17:30>

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